2010年3月17日水曜日

文化は死んでも私は生き残るもの

東京都が「青少年健全育成条例改正」で「非実在青少年」なるものを定義して青少年、正確に言えば18未満にみえるキャラクターが性的対象になる作品を規制しようとしている。すでに様々なところで話題になってるし、多くの人が反対意見が表明している。
著名なクリエイターの方々も批判している。
「文化が滅びる」――都条例「非実在青少年」にちばてつやさん、永井豪さんら危機感 - ITmedia News
痛いニュース(ノ∀`):都の2次元児童ポルノ規制に反対する作家リストがすごすぎると話題に
なぜかジャンプの作家の名前が一つもないという不自然さがあるが。
安倍吉俊さんも積極的に非難の声を上げている。
ABlog 青少年健全育成条例改正(いわゆる非実在青少年の問題)について
クリエイターではなく意外な企業からも多くの批判が噴出している
カジ速Full Auto:【ロリコン歓喜】 都の青少年条例改正案に反対表明 グーグル,マイクロソフト,ヤフーが幹事会員の団体
参考までにわかりやすくてもっともな批判。
東京都青少年健全育成条例の改正案について|建築エコノミスト 森山のブログ
どうも最近こういう「やばい法律が出来そうだ。批判の声を上げよう!」って話題が多い気がする。おそらくは昔からあったはずだけど、インターネットが普及し一般の人が声を上げやすくなったということだ思う。ネットがなかった頃は今と同じようにマスコミは表面的な報道だけをして問題はありつつも気づかれることなく制定してたんだろうな。
こうやって法律や条例が次々とできて規制が増えていくのに減ることはあるんだろうか?それはたまに法律の廃止ってことがあるんだろうけど、基本的には増え続けていくのだろう。新しい法律が一つできるたびに一つ自由が奪われていくと考えれば、あらゆる規制に批判的な目で見る必要があるのではないだろうか?
そして、この条例も児童ポルノの禁止法案と一緒でなんか気持ち悪いから規制しちゃえという実に安直な考えで作ったような条例だ。
施行されても実際に規制の対象となる作品はごくわずかだろうという意見もあるが、問題は対象となるかどうかではなく、自主規制の形で作品が萎縮してしまうことだ。中にはグレーゾーンで出版する人達もいるだろうが、大抵の健全な出版社であればグレーゾーンから遥か離れたところまで撤退する。個人情報保護法とかストーカー対策の法のときもそうだけど、過剰に反応して法的にアウトな行為はもちろん少しでも疑いがかけられそうな行為は一切しなくなる。
さらにこの条例の困ったところはこのグレーゾーンがメチャクチャ広いということだ。過剰な表現を抑制させるのが狙いだろうが、条文はかなり恣意的な解釈が可能だ。出版社や作家としては少しでも引っかかりそうな表現は避けるため、中・高校生の恋愛物は全てグレーゾーンと判断し、出版を自主規制するかもしれない。今の漫画やアニメの主人公ってほとんどが18歳未満だから、それこそ壊滅的だ。「文化が滅びる」とはそういう状態を指しているのだろう。
ただ、規制する側が漫画やアニメをみるような人たちでなければ、そんなの知ったこっちゃないな。漫画やアニメが滅びる?そんなの別に無くてもいいし。音楽の違法コピーをやめされるためにJASRACが広告で、お金が支払わなければ音楽文化が衰退するという警告を出している。これも同じように音楽を聞かない人達にとってすれば、だから何?ってものだ。有史以来様々な文化が消滅しているのに今更漫画やアニメを保護する必要があろうか?消滅まではいかなくても、写真によって絵画が、映画によって演劇が、テレビによってラジオが衰退した。自分が興味のない漫画やアニメが衰退したところで何の問題もない。それよりも気持ち悪いロリ作品を撲滅させる方が優先される。規制推進派と反対派ではそこで認識が違うのだと思う。
しかしながら当然、規制して衰退させるというのは好きな作品をつくるという自由を奪っている。自分が気に入らないから、興味がないからといって他人の自由を奪うのは間違っている。でも、このまま条例が制定されてしまったら、日本には自由を大切にする文化がないということなのかもしれない。
とはいいつつ自由の国アメリカでは子供向けの番組ではタバコや酒が画面に出ることすら許されないという徹底ぶり。
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