2019年5月8日水曜日

「本当にお疲れ様でした」って丁寧?

先月イチローが引退したときに「本当にお疲れ様でした」ってねぎらってるコメントをよく見かけたけど、なんか違和感があった。もっといい言葉ないの?
何が変なのかというと「お疲れ様でした」には称賛や敬意がないんだよね。あのイチローだよ?前人未到の記録をぶち立てて真摯に野球に取り組む姿は多くの人に感銘を与え尊敬されているあのイチローだよ?
英語だと偉大なキャリアおめでとうという祝福の挨拶がされてるみたいだったけど、日本だと「お疲れ様」ばっかりでそれでいいのか?それ軽すぎないか?そんなのプロになって3ヶ月でレギュラー外れて1年目で引退した選手に対しても使えるじゃないか。

そして今度は天皇陛下の退位に対してもやっぱり「天皇皇后両陛下お疲れ様でした」だよ。失礼じゃないかって話題になってたけど。マナー講師のでっち上げみたいな話になってるけど、そりゃ日本語としては合ってる。敬語として間違ってるとかそういう話じゃない。間違ってはいないがあまり適切ではないと感じる。
明確な根拠があるわけではないが以下の様な点が理由。
  • カジュアルすぎる
    そもそも「お疲れ様です」が便利に日常使われすぎてる。それを天皇陛下の退位の折に使うのは、なにやら結婚式の新郎が普段のスーツ着てるような感じ。確かにフォーマルだけど、もっと上のレベルないのか?
  • 称賛の意味がない
    「お疲れ様」って苦労をねぎらってるだけで内容に触れてない点が使う側としては便利。しかし、素晴らしい仕事をしても大失敗しても「お疲れ様」で済まされてしまうので中身は空虚だ。料理を作ってあげたのに「お疲れ様」だけで味について触れられなかったらまずかったんだろうか?と考えるだろう。
  • 疲れたかどうか勝手に決めんな
    カジュアルに使わすぎてて仕事じゃなくて遊びのあとでも「お疲れー」で解散するのが普通だ。でも遊びだったら疲れたんじゃなくて楽しかったほうがいいだろう。仕事も同じ。穿った見方かもしれないが天職とも言える楽しい仕事をしてるのに「お疲れ様でした」というのは「それ疲れる仕事だよね」と言っているようで失礼にならないだろうか?とちょっとひっかかる。
それじゃ、一体何といえばいいんだよっていう声はよく聞く。確かにこの場面で適切な言い方はこうだっていうコメントは見つからない。おそらく答えはないのだろう。
つまり「いただきます」を英語でなんていうんだ?っていう質問に対しては、英語では食べる前に挨拶をする習慣がないと答えるのと同じように天皇陛下の退位に際して庶民がねぎらう言葉はないのだろう。
なにしろ人間宣言をしたとはいえ現人神という扱いである。神様に対して「お仕事お疲れ様でした」ってピントが外れている。神なのだ。疲れなどせぬわ!

もう一つ。目上の人には「お疲れ様でした」は失礼ではないのか云々で読んだコメントの中に、教師をやっているが教え子に「お疲れ様でした」って言われると腹が立つっていう話は同意する。「お前のためにやってんだろ!」ってなるわ。その枠で考えると天皇陛下は国民のために政をしているわけで、その国民から「お疲れ様でした」って言われたら失礼と捉えられても仕方ないかもしれない。
労うのではなく、感謝すればいいのだ。